呼出型最適経路バス 「MyRideのるる」 の実証運行開始

利用者のリクエストに応じて、AIがルート・運行ダイヤを自動組成!

高萩市(市長 大部勝規)、茨城交通株式会社(本社:茨城県水戸市、代表取締役社長 任田正史、以下「茨城交通」)、株式会社みちのりホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役グループCEO:松本順、以下「みちのりHD」)、Via Mobility Japan株式会社(本社:東京都港区、CEO:西島洋史、以下「Via Japan」)は、2021年7月1日より、茨城県高萩市内において呼出型最適経路バス「MyRideのるる」(以下「MyRideのるる」)の実証運行を開始します。

本事業は、2021年3月23日に高萩市と茨城交通、みちのりHDで締結した「ダイナミックルーティング実証実験にかかる協定書」に基づいて実施するものです。

 

【呼出型最適経路バスの特徴・導入目的】

呼出型最適経路バス

とは、人工知能(AI)を利用して、利用者からの要望(予約)に合わせてバスの運行経路とダイヤを最適化して運行するものです。既存の標柱バス停に加えて、システムの地図上に数多くの仮想バス停(バーチャルバス停=VBS)をきめ細かく設定することで、利用者の利便性を大幅に高めるとともに効率的な運行を行うものです。

<実証運行で用いる中型バス>

利用希望者が専用アプリ「MyRideのるる」や電話で希望する出発地と目的地を指定して乗車予約を行うと、他の乗客の予約内容や道路混雑状況等に合わせて、AIが最適な運行経路とスケジュール(ダイヤ)を算出します。

システムは、日本を含む世界各国で180を超える自治体、交通機関、民間企業、教育機関等にサービスを提供しているTransitTech(トランジットテック) のパイオニアVia Transportation, Inc(本社:米国)、及びその日本法人である Via Mobility Japan㈱のシステムを使用します。

 

従来の定時定路線のバスは、運行経路・乗降場所・ダイヤが決まっていますので、通勤や通学等で大勢の利用者が毎日決まった時間に同じ目的地へ移動する需要に適しています。一方、呼出型最適経路バスは、出発地と目的地が異なる多様・多数の移動需要に対するサービスとなります。高萩市では、同じバスが朝と夕方~夜は定時定路線バス、日中は呼出型最適経路バスに切り替えて運行することで、利用者の利便性を向上させます。

 

【サービス設計の特徴】

今回のサービスにより、利用者に次のメリットを提供します。

l 多数の仮想バス停を利用することで、既存バス停よりも希望場所に近い場所で乗降ができます。

l 運行時間帯(概ね8:30~15:00)内であれば、利用したいときにバスを呼び出せます。

l 利用者はアプリ画面で、乗車するバス停までのルート案内や、乗車する車両の現在位置・バス停到着予想時刻、車両情報(ナンバープレート等)を確認できます。

l 乗車後は、車両の現在位置と目的地までの経路と予定到着時刻が表示されます。

 

【段階的な導入】

今回の実証運行では、2021年7月より一部エリアの住民を対象に運行を開始し、下記のように段階的に対象利用者とバス停を拡大していきます。年度内には、高萩市内の既存の路線バス運行エリアである常磐自動車道の東側のほぼ全域において、どなたでも利用できるサービスに拡大する予定です。

l 第1段階:運行期間 2021年 7~ 9月/運行日 月~金曜日/運行時間帯8:30~15:00/車両1台

l 第2段階:運行期間 2021年10~12月/運行日 月~金曜日/運行時間帯8:30~15:00/車両2台

l 第3段階:運行期間 2022年 1~ 3月/運行日 月~金曜日/運行時間帯8:30~15:00/車両4台

土~日曜日/運行時間帯9:00~14:00/車両2台

  

【運行内容(第1段階)】

n  運行開始:2021年7月1日(木)

n  運行エリア:高萩市内の常盤自動車道より東側の地域(次頁運行エリア図参照)

n  バス停:124箇所(既存バス停96箇所、仮想バス停28箇所)

n  車両数:中型バス1台で運行

n  運行日:平日(月~金曜日)

n  運行時間帯:概ね8:30~15:00

n  利用対象者:向洋台団地周辺の住民

n  運賃:1乗車大人300円、小人150円

n  予約方法:専用アプリ(スマートフォン)での予約/電話予約

  乗降場所と利用対象者は段階的に拡大予定。

ひたち圏域MaaSプロジェクトでAIデマンドサービスが始まります

ひたち圏域新モビリティー協議会(以下、「協議会」)は、国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課が実施する令和2年度日本版MaaS推進・支援事業の支援を受け(新型コロナウイルス感染拡大の影響により令和3年度に実施)、6月11日から、茨城県日立市大沼エリア/宮田・助川・成沢エリアでAIデマンドサービスの運行を開始します。本取組は、日立市および茨城交通株式会社(本社:茨城県水戸市、代表取締役社長:任田正史、以下「茨城交通」)、電鉄タクシー株式会社(本社:茨城県日立市、代表取締役社長:任田正史、以下「電鉄タクシー」)、株式会社ナビタイムジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:大西啓介、以下「ナビタイム」)、Via Mobility Japan 株式会社(本社:東京都港区、CEO:西島洋史、以下「Via」)、株式会社みちのりホールディングス(本社:東京都千代田区、代表取締役グループCEO:松本順、以下「みちのりHD」)が実施します。

AIデマンドサービスは、利用者(複数)のリクエスト(乗車地点・目的地・乗車時刻)を受け取り、希望地点近傍の乗降場所を通るように経路を変更し、運行します。従来の固定ダイヤ・固定ルートに比べて、大幅に利便性が向上します。本サービスではViaのAIプラットフォームを活用したオンデマンドタクシーを、ナビタイムが開発した「Hitachi MaaS」アプリから検索・予約・発券します。また、乗換検索にAIデマンドサービスを融合させることで、AIデマンドサービスが地域交通の一つとして利用者に認知され、シームレスに利用できる環境を提供します。

図1.「Hitachi MaaS」アプリ

【AIデマンドサービスの概要】

  • 運行エリア :日立市大沼エリア/宮田・助川・成沢エリア (下図参照)
  • 運行期間 :令和3年6月11日(金)~7月22日(木)
  • 運賃 :2km以内400円/2km超600円
  • 乗降場所 :大沼エリア 約230箇所
    宮田・助川・成沢エリア 約350箇所
  • 運行時間 :大沼エリア 午前9時~17時
    宮田・助川・成沢エリア 午前9時~12時、14時~17時
  • 車両 :大沼エリア セダン型タクシー(定員2名)
    宮田・助川・成沢エリア ジャンボタクシー(定員3名)
  • 利用方法 :「Hitachi MaaS」アプリから検索・予約・発券する

図2.AIデマンドサービス運行エリア(左図:大沼エリア/右図:宮田・助川・成沢エリア

写真:宮田・助川・成沢エリアを運行する車両

【AIデマンドサービスの技術的特徴】 

  • AIデマンド配車:ダイナミックルーティング

AI(人工知能)を利用した「ダイナミックルーティング」を行います。これは、乗車希望者がアプリを利用し、乗車リクエスト(希望乗車・降車場所を選択)を行うと、リクエスト内容とその時の車両や道路の状況に合わせてAIがルートを計算して、効率的な配車・運行を行うサービスです。

この「ダイナミックルーティング」は、TransitTech(トランジットテック) の世界的パイオニアであるViaにより開発され、日本を含む全世界180を超える自治体、公共交通機関、法人、教育機関等にサービスを提供しています。

本システムでは、バーチャルバス停(VBS/標柱を置かない乗降場所)を多数設定し、利用者の乗車希望場所と目的地(降車希望場所)に対して、最適な運行経路(ルーティング)を設定します。また、乗客に対しては最も効率的なバーチャルバス停をアプリで通知し、乗降していただきます。

 

  • アプリ(乗換検索、予約・決済、チケット発券)

デマンドサービスは、運行経路や運行時刻が事前に定まっておらず、定時定路線型のバスなどと組み合わせた経路の提示が難しいことが課題になっていました。本取組ではViaのAIプラットフォームにより運行予想時間や配車経路の算出、乗車人数の管理を行い、さらにナビタイム独自のマルチモーダル経路探索エンジンをもとに、AIデマンドサービスの仮想停留所などの情報を考慮することで、定時定路線型のバスなどと、不定期自由経路型のAIデマンドサービスを組み合わせた最適な乗換検索の提供を実現しています。

本技術によって、利用者は乗換検索アプリとデマンド型交通アプリを別々にダウンロード・操作する必要が無くなり、乗換検索からAIデマンドサービスの予約、決済まで一貫して行えます。

 

【今後のサービスの展開】

本取組では地域の移動の基幹となるバスなどの公共交通サービスを補完する末端交通として、AIデマンドサービスの持続的な可能性を検討し、地方における交通モデルを検討します。特に公共交通の分担率が低い地方部において、日頃、公共交通を利用しない地域住民や域外からの来訪者などをターゲットに、「Hitachi MaaS」アプリを通じてシームレスな利用環境を提供することで、新たな利用者層の発掘を目指します。
またモデル地域として取組を進めるひたち圏域MaaSプロジェクトにて検証された技術を同じような交通課題を抱える地方部への提供を模索していきます。本事業を支援している国土交通省総合政策局モビリティサービス推進課と連携することで、日本の公共交通の改革を、茨城県日立市から発信していきます。

【各社の役割】

日立市 ・実証に係る各種調整

・市政策への反映 等

茨城交通 ・協議会の組成、開催、運営

・バス利用者への告知 等

電鉄タクシー ・車両運行にかかわる業務
ナビタイム ・「Hitachi MaaS」アプリの開発・提供

・マルチモーダル経路探索技術の提供

・AIデマンドサービスの予約・決済・チケット発券

Via Japan ・AIデマンドの配車アルゴリズムの提供
みちのりHD ・実証計画の策定

・サービス・アプリの仕様設計

・新モビリティサービスの採算性分析 等